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思いつくままに書きました。

子供の遊びそのC 木と竹でそりを作り、雪が積もるのを待つ

今、雪が降ったとき、或いはスキー場に行くとそり遊びをします。
そのそりはプラスティックで出来たものを買ってきて一生懸命に遊びます。
枯れ草の土手なんかではダンボールを敷いて滑ります。
僕達の子どもの頃(45〜50年前)はそりを作りました。

垂木(屋根のひさしに使う木)の1.5mを2本、横に渡す板を何枚か揃える。
だいたい、建前をしている所へ行ってもらってくるのですが、ない時は家の中を
捜すとお父さんが大事にしまっていたのを見つけ、こそっと持ってくる。
垂木と板を釘で打ち骨組みが出来る。やっぱり、のこぎり、金づちを使い
雪が降ったらと考えながら、一生懸命に作る。

その次にそのBで紹介したはさ掛け用の竹を2m程に切って、半分に割る。
先端から30cmを火であぶって曲げる。おくどさん(カマド)や風呂炊きの火を
使って竹を曲げ、ほぼ曲がったら水をかけて冷やし形を作る。
火が弱ければ無理して曲げるので折れる、強ければ竹が燃えたりする。
子どもには難しいが、失敗しては作る。本体を裏向けにして、曲げた竹を垂木に
打ち付けそりの底が完成する。腰掛る所には木箱を付け、足掛け、手綱もくくりつける。

雪はまだ降らないが、晩秋の土手は枯れ草があり、上に運んでは滑る。
時々、竹を固定する釘が草にひっかかり滑らないことが起きた。
そこで、竹に×の切り込みを入れて釘がかくれるように打つ。滑り終わったら、
家の軒に裏向けて置き、いつ雪が降っても良い様に置いておく。
表向きにしていたら雪で座るところが濡れる。雪が降りそうな雲行きで風が強い晩は
「明日は雪が降らないかな」と期待して寝る。
朝、薄暗く、両親が寝ている時に起き、雪が降っていれば外へ飛び出し、
雪の積もった土手を勢いよく滑り落ちてくる。草の上を滑るのと違い勢がつき、
用水路まで行き過ぎ、水にドボンとはまることも度々だった。

そして、遊び疲れて朝ごはんを食べ、「夕方になっても雪が残っていて欲しい」と
期待して学校へ行く。夕方、学校から早々に帰り、僅かに残る雪の中、そりを持って
飛び出し暗くなるまで遊ぶ。手袋もなく、気が付いたら手が冷たく、お母さんが
ご飯を炊いているおくどさんに手を出し、温まる。

何もなかったし、売ってもいなかったが、僕達は何でも作った。
自分が作ったそりは宝ものでした。他の子どもの真似をしたり、工夫して
使いやすいようにしたり、相手よりもスピ−ドが出るように作るのも競走です。
竹の摩擦抵抗を少なくする為に、節のところをカンナで削ったり、曲げを滑らかに
したりしました。竹トンボ作りと同じように競争です。
雪が降るのが待ち遠しく、早くからそりを作り、待つのです。雪は1年に僅か3〜4回、
積もりましたが、その少ない雪、季節とともに寒い冬を遊んでいました。

(平成18年7月記) inserted by FC2 system